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加藤 豊さん

不動産コンサルタント

事故物件の見分け方、どこを見る?どういう不動産屋が信頼できる?

2018年1月9日

解決!アスクミー JIJICO

事故物件は見抜きづらい。真実を知る人が限定され、外部調査も難しい

不動産の中には「事故物件」や「訳あり物件」と呼ばれるものがあります。家を借りる人、または買う人に対して心理的な影響を及ぼすことから、「心理的瑕疵(かし)」がある物件とも呼ばれます。

明確な定義はありませんが、一般的には、自殺や他殺、孤独死、火災による焼死など、人の死に関わる事件・事故が起きた物件を指すことが多いようです。

瑕疵にはその他に、建物の欠陥や地盤沈下などの「物理的瑕疵」、建築基準法違反などの「法的瑕疵」、騒音・振動や近隣の嫌悪施設などの「環境的瑕疵」があります。これら心理的“以外”の瑕疵は、インスペクションや周辺調査などで第三者がチェックすることが可能です。

しかしながら、心理的瑕疵だけは必ずしも信頼性ある調査ができません。売主(や仲介業者)しか知らないケースもあり、近隣への聞き込み調査をしようにも個人情報の壁に阻まれるなど、限界があります。

「アパートの一室だけ定期借家契約で入居者募集している物件や、一室だけリフォームしている物件は事故物件の可能性がある」といわれることがありますが、もちろんそうでないケースも多くあります。精度の高い見抜き方とはいえないでしょう。

また、民間の事故物件公示サイト「大島てる」は有名ですが、すべての物件を網羅できているわけではありません。未確認事項や噂レベルのものもあり、その信憑性が疑わしい場合もあります。

このように、事故物件かどうか真実を知る人はごく一部の関係者に限られ、かつ形に残るものでもないため、どうしても見抜きづらいという性質があります。

買主・貸主が積極的に聞くことが最も有効な方法

そこでカギとなるのは、売主・貸主や仲介業者に事実を開示させることです。そのためには、買主・借主が自ら積極的に仲介業者に説明を求めることが重要です。

本来、不動産取引において、契約者に不利な情報を仲介業者から開示させる仕組みは整っています。

不動産仲介業者には、取引の判断に影響を及ぼすと考えられる事実を契約者に必ず伝えなければならないという「告知義務」(宅建業法第47条)が課せられているためです。そのため、原則として事故物件の場合にはその事実が買主・借主に伝えられるはずです。

また、物件広告においても「告知事項あり」などと表記されます。

特に売買の場合には、売主から「物件状況報告書(告知書)」が渡されることが多く、心理的瑕疵がある場合には売主から伝えられます。告知書を出してもらえない場合には、不動産会社を通じてお願いしましょう。

告知義務はあるが解釈が曖昧なのが問題

ただ、ここで注意しなければならないのは、事故物件の告知に関する詳細なルールが決まっているわけではないということです。

不動産会社によっては、「3年たてば告知しない」「賃貸物件なら、事故後に新たな入居者が入れば、その後は告知しない」といった独自のルールで営業を行っている会社もあります。

判例をみても、買主の利用目的や事件の内容、近隣住民の記憶の有無、都心か農村部か(匿名性の高低)、などによっても告知義務の範囲は異なっています。

約50年前に殺人事件が起こった建物を取り壊し、その後40年以上も更地として放置された農村部の土地について、告知義務があるとされた例があります。一方で、都心部にある商業ビルの売買について、約2年前の放火殺人の告知義務はないとされた例もあるのです。

さらに、重要事項説明書や契約書に記載するものの専門用語でサラッと説明される場合もあります。

つまり、告知する義務が課せられているとはいえ、その解釈や運用の方法はさまざまです。そのため、後々トラブルに巻き込まれないためにも、買主・借主自ら積極的に説明を促す姿勢が望ましいのです。

例えば、不動産会社に対して「この物件に心理的瑕疵はありませんか」と具体的に説明を求めることは有効です。

また、希望条件しか聞いてこない不動産会社は多いものですが、あえて「希望しない条件」を伝えることも意味があります。例えば、「事故物件は絶対に契約したくない」とメール(電子文書)など形に残る手段で伝達すれば、特に注意して事故物件を避けてくれるでしょう。

「なぜこの価格なのか?」を具体的に説明できる不動産会社を選ぶ

見分けるというより、知らされるかどうかという側面が強い事故物件。契約の当事者である買主・借主が積極的に情報開示を求めることが有効策の一つであることを説明しました。

さらに有効な対策としては、物件を選ぶ前に、リスク情報こそ積極的に開示する仲介業者を慎重に選ぶことです。具体的には、良いことしか言わない業者や、図面情報や間取り・設備といった表面的な情報だけしか伝えない不動産屋を避けることが賢明です。

特に注意して聞きたいのが「価格の妥当性」の説明です。

不動産のあらゆる利点・欠点は、基本的に価格に集約されます。つまり、安い物件は安いなりの理由が必ず存在するということです。

例えば売買であれば、接道義務を満たしておらず再建築不可である場合や、増改築しており既存不適格物件であるケース、売り急ぐ事情があるなど理由はさまざまです。賃貸物件でも同様です。

その意味で、相場より明らかに安い物件を「お買い得ですよ!」と片手落ちの説明しかしない業者は危険です。

安さの理由が事故物件であることは少なからずあります。それなのに、自社利益最優先で契約させることだけを考え、耳障りのいいことしか伝えていないのかもしれません。

安い物件に喜んで飛びつく前に、貸主・売主はその価格で貸したい・売りたいと願っていることを覚えておきましょう。

そして価格の妥当性を理解することは、事故物件を避ける以上のメリットがあります。このプロセスを経て、物理的瑕疵や法的瑕疵など他の見えにくいリスク情報をあぶり出すことにも繋がるのです。

危険な取引を避けるためにも、ぜひ一言「なぜこの価格なのか?」と聞いてみてください。

マイナス情報を丁寧に伝えてくれる不動産会社は誠実といえる

以前、弊社で管理する賃貸物件を相場より安く入居募集したことがあります。その部屋は事故物件ではなく、値下げ理由としては、築年数がかなり古かったことや、大家さんがローンを完済できたため値下げ余地が生まれたものでした。

募集開始早々に、ある不動産会社より「なぜこんなに安いのですか。もしかして事故物件ですか…」と具体的な理由を問われたことがあります。

表面的な価格情報に踊らされず、その理由を聞きだした上で先回りしてお客様に伝える会社のようで、感心したことを覚えています。

物件を紹介して契約させることだけが仲介業者の役割ではありません。どの物件にも必ず欠点はあります。物件紹介とともに、マイナス情報こそ丁寧に伝えてくれる不動産会社を選んで安全安心な取引をしてくださいね。

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加藤 豊さん
不動産コンサルタント

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